易経〈上〉 (岩波文庫)



易経〈上〉 (岩波文庫)
易経〈上〉 (岩波文庫)

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疑問も多い

『易』の翻訳には、岩波文庫の本書と、『朝日古典選』の本田済氏のものとがよく利用されている。いずれも文庫本ということで、利用や値段に手頃だからであろう。

本書、岩波文庫のものは、高田氏と後藤氏の翻訳であり、両者ともに漢学者として著名である。本書には優れた翻訳部分が多々存在する。しかし翻訳内容には疑問の個所もまま存在する。『易』は難読であるから、明白に誤訳であると断定できるわけではないが、それでも誤訳とまで言わずとも、不適切な翻訳と思われる部分がまま見受けられるのである。

『易』は難しい。そのため読者としては、本書一つで満足することなく、地道にいくつかの翻訳書を探して原文の幅広い理解を目ざしたいところである。
中国古代哲学の二元論「易」の原典(上)

陰陽道や風水などの基礎に陰陽五行説がある。この考えには三つの柱がある。宇宙は陰と陽の二つの様相から成り立っているという『易経』の説く陰陽説、万物は水、火、土、金、水の要素の相克ないし相生から成っている五行説、そして星占いから派生した十干十二支の考え方である。これらが組み合わさって複雑な陰陽五行説は成り立っている。さて陰陽説であるが、まず宇宙が混沌とした状態、始源としての「大極」が措定される。そして万物すべての状態の基本型として陰と陽の二つの様態があるとする。さらに陰陽が組み合わさり太陰、少陽、少陰、太陽の四象、さらに乾、坤、震、巽、坎、離、艮、兌の八卦を生み、さらに八卦を組合せて六十四卦を生む。中国古代哲学の二元論たる「易」の原典である。
易経の原典

すばらしい本である。私は素人で易をやるものだが、巷間にあふれている通俗の易の本だけではものたりないので、原典である本書を常に参考にしている。漢文と漢文書き下し文それに現代語訳という構成になっている。翻訳者の付けた解説がまた名文ですばらしい。ただ欲を言えば、2分冊になっているのが使いづらいのでできれば1冊にまとめて欲しかった。



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